曖昧な青が、小さい部屋を寒々しく照らす。
紫希の全身に濃い影が落ちる。
なにも言わずに、切れ長の目尻だけを美しく輝かせて。
けれど、彼はすぐに隠すんだ。
そろりと立ち上がって、着物の裾を儚くはためかせながら遠ざかるの。
平然と声を紡ぐの。
「あの痣は、いいや、術印は、人知れずに姫巫女の血を継ぐ鈴代家の家紋だった。故にあれは、涼子様がおかけになった術の証だ」
姫巫女像に刻まれていたのと同じ印……。
姫巫女の家系……。
当事者なのに、私は何ひとつ知らない。
なんにも知らないで、泣いて喚いて、逃げることばかりを考えていた。
私はそんな自分に肩を落とし、小さな子供のように丸まって両脚を抱きすくめる。
家族である私よりも、紫希の方がよく知っているなんて、笑ってしまう。
全部全部、私が無知で、弱虫だからなのかな……。


