布団の表面になんなく手が沈む。
もう沈みようがないほど、指先にあたるものは固かった。
体が重い。ううん、心が重い。
女の子なのにこんなところに痣があるのが大嫌いだったのに、なにもない胸元に大きな違和感を覚える。
願いが叶って、きれいな胸元になったというのに、さっぱりしない。
名残惜しげに私の手は今も、痣があった場所を覚えていて覆っている。
指先にまで不安が駆け抜けてぞくりとする。
胸が落ち着かない。
私は、いまだ俯いている紫希を追いすがるように見た。
「ねえ、紫希。私、なにか大事なものなくしたの……?」
私という重荷をのせた布団にまた一つ、憂いの言の葉が落ちる。
か細い声で問えば、紫希は濃い灰色の羽織をするりと脱ぎ、私の肩に手を伸ばした。
背を包むよく知るぬくもり。
痣のない胸に覆いかぶさる濃い灰色の布地。


