手首にだけくっきりとつけられた、指型の青痣。

脳裏にじわりじわりと記憶が滲み広がる。

ガラスと木片が散らばった床。

縦横無尽に走った黒い光線。

漆黒の翼。

蔑みの瞳を向けていた、九条くん。

そうだ、私は烏天狗に襲われた。

私は布団を激しく蹴飛ばし、視界をぐるりと回し転がり出る。

硬い床に肩を打ちつけ、それでも私は立ち上がろうと床を押し返した。

なんで私はこんなところで寝ていた?

あれからどれだけたった?

真央がろう下へと投げ飛ばされた時の映像が、イヤなくらいよみがえる。

真央はどうなった!?

「真央! 真央、真央っ!」

無我夢中で喚きちらしながら、腕に渾身の力をこめた。

でもその直後、伸ばしきった肘ががくりと折れていく。