誰の顔ももう見えない。 私は、終わるの……? 私ひとり、沈んでいく。 深く深く、重く重く。 重い瞼の暗幕が落ちる。 その時やっと、背中がぬくもりのある、なにかに受け止められた。 「おい、凛! 凛! しっかりしろ! 凛!」 暗幕の向こう側に、声の大雨が降っている。 でも、暗幕を引き上げる力など残っていない。 力尽きた手の甲が、冷たい板に音をたてて落ちる。 私は知らない世界へと落ちた。 一面、まっ黒な、世界へ……。