すると一斉に私の視界を黒く塗りつぶしていく大きな影が飛び込んできたのだ。
呼吸は止まり、声は失われる。
どれだけ目を見開けども、映るのは暗黒色ただ一色。
勢いよく九条くんの両脇に降り立ち、膝まづく漆黒の翼と髪をもった2人。
そして私は音をたてて大きく息を飲み込んだ。
九条くんの一番側で、頭を垂れているのは、見覚えのある緩いパーマヘア。
何度も私の前に現れた烏天狗、響……。
その姿を確認した瞬間、九条くんは学生服の懐から取り出した扇で容赦なく、その響という彼の頭を叩いたのだ。
「我が弟ながら恥だ。なぜお主らがいて、こやつらを突破させた? この役立たずどもが。もう足を引っ張るでないぞ」
「申し訳ございませんでした」
唾を吐きながらの激しい叱責に、彼は身じろぎもせず謝罪をする。
兄弟とは思えず、私はすくみあがった。
「わかったなら、さっさと仕事をしろ」
「はっ!」


