唇を舐める彼の吐息。
背はテーブルで逃げ場のない私は、震える体をおさえこみ、ぎゅうっと瞼をきつく閉じた。
体は挟まれて逃れられない。
私にはもうなにも抗えない。
紫希……。
紫希、お願い、もう一度私を見つけて。
お願い、助けて。
かたく閉じた瞼の裏で強く祈る。
嘲笑うような笑い声が耳を掠めて、私は今にも悲鳴をあげそうになった。
しかしその時だ。
鼓膜をぶち破らんばかりの轟音がとどろく。
私は目を見開く。
彼は乱暴に手を離し、身をひるがえす。
彼の眼前で、大きな本棚が倒れ込む。
カーテンはひらりと舞い、ガラスの欠片が煌びやかに飛び散った。
それに交じり飛び込んでくる、3つの影。


