鳥肌が立つ。
脳裏には、すべてを飲み込みそうなまっ赤な業火がよぎり、私はふらついて近くのテーブルにもたれかかった。
でも彼は、カーテンとバリケードが織りなす影の中、大きな翼で更に影を落としながら、腕を組み、私の前をゆっくりと歩き出す。
まるで牢屋の外にいる看守のように、悠々と。
「烏天狗はな、大昔から有能で神通力に長け、規律を重んじる由緒正しき血筋なのだ。だから当然、妖怪と下等な人間が交わるなど、同じ妖怪として許しがたい行為だった」
彼はひとりでに語り出す。
少しも乱れぬリズムを足で刻みながら、微塵の淀みもなく演説のようにしゃべっていく。
私はなすすべもなく、後ろ手でテーブルにつかまっていたけれど、血の通っていない言葉に指先は冷えていく。
するとその時、部屋の端までたどり着いた彼はくるりと踵を返したのだ。
彼は突然腕を大きく広げ、白い喉元をのけぞらせるから、私は目を見開いた。
そして彼は笑い交じりに叫ぶ。


