「ここから今すぐに私を出して! 真央のところに行かせなさいよ! 私も真央も、あなたみたいな生き物とは無関係なんだから!」

息を切らし彼の方へ向き直る。

彼は優雅に翼を仰ぎ、ついには大口を開けて狂ったように笑いだした。

狭いこの空間におさまりきらんとばかりに激しく共鳴し、私は怯えながら耳をおさえる。

けれど、笑い声はすっと消えさり、彼は顎を引き、ひやりと冷たい目で私を見据えた。

困惑しながら硬直する私に、彼は鋭く目を細めて言う。

「お主、それはとぼけているのか? 知らぬふりも、ここまでやるとうっとうしいぞ。それとも本当に知らぬのか? お主の家に代々受け継がれし力のことを、お主の母の無様な死を」

「なんで、お母さんのこと……」

“無様な死”その言葉ばかりが私の頭の中で反響する。

私はうわ言のように、問いかけていた。

なぜ、お母さんのことをそんな酷く言われなければならないの……?

脈拍が一気に速くなる。