自分の心臓が耳元にあるかのように、忙しない音が頭になり響く。
そうして彼は一呼吸置き、弓型にしなる唇で自信たっぷりに言い放つ。
「この俺こそが、九条琴弥。烏天狗一族を統べる現総代だ」
電撃のように体を駆け抜ける言葉。
「お主は我が妻になる女。よく覚えておくのだぞ」
凛として目の前に立ち、対峙している彼。
その一言で、威厳というのものに圧迫される私は動けない。
覆いかぶさってくるように視界いっぱいに広がっている黒い翼が、その重々しい威厳を象徴しているようで、胸が自然とおさえつけられる。
これが、烏天狗の長の圧力……。
それでも私はズキズキと疼く痣の痛みに耐え、喉をこじ開ける。
「そんなの知らないし、私はあなたなんかの妻になるのは絶対にイヤ!」
掠れた声を振り絞り、鋭く視線をつきたてた。
「なんだと? 痛みを味わわせないと、わからないようだな」


