突然ぐっと低くなった声に私は震えあがる。
あらわになった、鎖骨付近に刻まれた鈴の痣。
それを暴いた強い腕力。
まっ白になった頭で私は瞬時に彼を見上げた。
別人のように凍てついた闇色の瞳。
痣が焦げ付くように痛みだし苦悶する。
しかし、ばさりとという大きな音がとどろくとともに、顔に凄まじい風圧が押し寄せた。
唸りながら瞼をこじ開けて、私は目の前にあるものを確かめる。
けど、私は硬直した。
視界が、黒で埋め尽くされていた。
一瞬にして血の気が引き、全身が震えだす。
九条くんの背中には、漆黒の大きな翼。
「烏……天狗……」
「ご名答。人間をだますのは実に簡単だな」
優しい言葉を紡いでいたあの唇が、いやしいせせら笑いを浮かべていた。


