校舎の端にある社会科の資料室へたどり着く頃にはもう、人通りはなくなっていた。
荷物を置き、ふたりで黙々と棚に資料を戻していけば、あっという間に仕事を終えた。
「なんか、ほとんど手伝いにならなくてごめんね」
最後の一冊を一番高い棚に軽々と差し込む九条くんの背中に、私は不甲斐無く苦笑いしながら呼びかける。
「そんなことないよ。ありがとう」
振り返って穏やかに微笑んでくれる九条くん。
そんな最中、ブレザーのポケットの中でなにかが大きく振動した。
片手を突っ込んで探り当てれば、それはスマホで、メールの受信BOXを見ると真央の名前があった。
昨夜来たメールも未開封のまま。
私は開きもせずに画面を消して、ポケットへぽろりと放りこんだ。
さっきよりもポケットはずしりとし、ブレザーが重くのしかかる。
「どうかしたの? なにか困ったこと?」
ふっと視線をあげると、そっと歩み寄ってきた九条くんが小首を傾げて私の目を覗き込んでいていて、心臓が跳ね上がる。


