そんなことわかっている。
でも、こんなことになるなんて思いもしなかったんだ。
私は言葉にできなくて、俯いたまま震えるように首を振るのが精いっぱいだった。
彼は膝に布をしばりつけると、私の顔を上向かせて鬼みたいな顔で睨む。
「遊びのつもりならやめくれ! 俺らにそんな暇はない!」
まるで雷のように、声が全身へと駆け抜けていく。
私はそのただならぬ雰囲気に縮みあがっていく。
「乱麻が、また余計なことを喋ったらしいな。でもわからせるにはちょうどいい」
彼はため息交じりに目を伏して、口を開く。
「聞いたとおり、俺らはお前を守る使命と同時に、半妖の村を守る役目もある。烏天狗はいつだって、俺らみたいな半端者を消したいと狙ってるんだ」
そう言いながら、彼はかたわらに置いていた刀の柄に、なぜか恐る恐る指を伸ばし触れていた。
この暗い森の中でもわかる。


