「あんたのために首なんてくれられないよ。僕の命は、父さんと母さんのために使う」
首を反らして私を振りかえる乱麻くん。
夕日を背に、横顔の輪郭は鋭利すぎるほどに浮かび上がる。
私は心の奥底から震えた。
まるで、隙がない。
あのくりくりとした大きな瞳の中に揺れる、憎しみ色の炎。
首をそれほど傾けることもなく、頭まで見えてしまう小柄な男の子。
そんな彼のどこに、そんな憎しみが潜んでいるのだろう……?
だぼついたカーディガンを羽織り、ただダラリと立っている。
なのに、妙なまでに体は微動だにしない。
集中力を研ぎ澄ませているように、一点しかとらえていない彼に胸がざわついた。
空気を伝わって、刺すようななにかが肌を掠めていく感じがする。
ようやく乱麻くんはぷいっとそっぽを向いて、私はやっと深い息ができた。
でも、そんなのは束の間のこと。


