さっきの、お兄さん……?
「おい、鈴代凛。授業中なんだが?」
「はっ、はい! 授業!?」
私は弾かれるように飛び起きた。
その単語にびっくりして起きたけれど、頭はぼけっとしたまま。
慌てふためいて、机から落ちそうになる教科書を寸前でキャッチし、わけもわからず周りを見渡す。
周りの席の生徒の顔が、私の方を向いている。
前に目を移せば、真央が体をぐるりとひねってまで、神妙な顔をしていた。
私は微かに首を傾げる。
教科書を握った手の平に汗が噴き出した。
「鈴代?」
ふいに降ってくる、重く低い声。
ドキリとして見上げると、そこには教科書を片手にのせた雨宮おじさんがいたのだ。
私は口を開いたまま声を失って、開いていない教科書をぎこちなく机に置く。


