なんで、お兄さんは泣きそうなの……?
そう聞きたかったのに、疲れ果てた体はいうことをきかない。
小さな手で抱きかかえていたポシェットが、軽い音をたてて地面に転がった。
お兄さんは、小刻みに震える手で着物の胸のあたりから小瓶を取り出す。
そして栓を抜くと、私の口にそっと注ぎこんだ。
意識がどんどん離れていく。
眠い。
頑張って起きようとしても、瞼が閉じていく。
お兄さんの姿が、瞼の裏の闇に消えた……。
*・*・*・*・*
「鈴代……鈴代……」
微かに聞こえる私の名前。
私は遠くから薄ぼんやりと聞こえるその声に、小さく唸り声をあげた。
薄い意識の中で、誰だろうと考える。


