私は男の子の腕にすっぽりとおさまったまま、もうろうとする意識の中ぼんやりと目を開けていた。
男の子というよりも、背が高そうなこの人は、たぶん中学生くらいのお兄さん。
森の中の闇とまったく同じ色をした短い髪が、風にさわさわとなびく。
そして、着ているのはなぜか、着物。
こんな闇の中でも、白っぽく明るくうつる。
きれいな、人……。
「お兄さんは……誰……?」
力の入らなくなってしまった細い声を、唇の隙間から発する。
この不思議なお兄さんが助けてくれたの?
さっきの目に見えないものは何だったんだろう……?
疲れで眠くなってくる頭は、ちゃんとものを考えられない。
「いいか? あんなこと全部忘れるんだ。忘れて、お前は普通に、幸せに生きろよ」
お兄さんは泣きそうに眉を曲げて、無理矢理微笑んだ。


