「お父さん、助けてー!」

お父さん、お父さん、頭に浮かぶのはそればっかり。

助けてって、無我夢中で祈る。

すると、金属がぶつかる甲高い音が聞こえた。

私が顔をあげると、闇の中でひときわ輝く刀が宙を滑っていた。

その光に目を奪われていると、私の耳のすぐそばでけたたましいうめき声が聞こえた。

「うおぉぉぉぉぉ~! おのれぇぇぇぇ!」

「きゃあー!」

化物のような恐ろしい叫びに私は弾かれて、私はうしろへひっくり返る。

ぎゅっと目をつむった。

けれど、なにかやわらかいものに受け止められる。

おかしいと思って恐る恐る目を開くと、目の前には男の子の顔。

「大丈夫か?」

それほど低くない張りのある声で呼び掛けられる。

私を覗き込む、ちょっぴり切れ長の目が揺れる。