「そんなマジにならなくても……。だって、これからこの子の力を使わなきゃ、どうにもならないじゃん」
猫丸くんは細い声をあげ後ずさる。
すると着物の彼は刀を素早く鞘におさめた。
揺れ動く瞳を瞼で隠し、深く息をつく。
「俺たちだけでやれる。十分なんだ」
物静かに、だけれども力強く彼は言い放つ。
瞼を下ろしたまま、唱えるように。
そんな彼に、猫丸くんも七瀬くんもなにも言えずに俯いている。
彼はまるで、自分に言い聞かせているみたい……。
自ら壁を作って、自分を、追い詰めているみたい……。
そして、切れ長の目をスッと見開いた彼はいつもと同じように、涼しげな眼差しをしていた。
「早く撤退するぞ」
彼は薄灰色の袖をはためかせ、一番に去っていく。
猫丸くんはため息交じりに、私と彼を交互に見やってぼやいた。
「過保護だねぇ」


