私の涙がぽたりと彼の頬に落ちる。

彼は息をのんで、切れ長の目を見開いた。

「私はあなたに何度も助けてもらったんだから!」

涙が止まらない。

怖くて怖くて、震えきった手で横たわる彼をかき抱く。

きつくきつく、彼のたくましい体を包む。

彼の肩に顔を埋める。

背中に感じる影が大きくなる。

あれの下敷きになれば絶対助からない。

私は彼を救えない。

だけど、それでも、それでも、見捨てられるわけなんてないの。

だって、姫巫女だとか伝説だとか、そんなものわからないけど、見ず知らずのあなたが命を張って守ってきてくれた、だから……。

彼の肩の着物が私の涙でぬれていく。

「バカ……。お前が無事なら、俺はどうでもいいのに」

背中に、突然ぬくもりを感じた。

と思った瞬間に、体をくるりとひっくり返される。