束になった長い鉄骨が、地面に投げ出された彼の元へ今にも降ってくる。

彼に直撃する。

そんなのダメ……。

私の足は、もう考えなくたって動いていた。

枷が外れたように足が地を蹴る。

怖さは忘れたのか、わからない。

感じたことのない速度で、風が頬を切る。

これ以上、彼が私の目の前で傷つくのはイヤだ。

絶対にイヤだ……。

降ってくる鉄骨の下に滑り込む。

倒れ込むように、彼の体に覆いかぶさった。

「おい、バカ! なにしてんだっ!」

私の下にいる彼はまるで鬼のように怒鳴る。

私はそれにも勝る声で叫んだ。

「バカはそっち! 見捨てられるわけないでしょ!」

もう、胸が張り裂けそうだよ……。