言葉もなく、彼のたなびく袖に手を伸ばす。
けれど、私は目を大きく見開いた。
彼の頭の向こうの、鉄骨の山の上から、黒い光線が一直線にこちらをめがけてくる。
光線はもう目の前。
もう間に合わない。
体が硬直して動かない。
悲鳴をあげそうになってギュっと身を縮める。
けれど、視界の端にとらえた彼に、私は息をのむ。
彼は横目にそれをとらえるなり、下駄音を大きく轟かせる。
私を隠すように立ちはだかる。
私は絶望して彼を見上げ、声を失う。
光線は既にもうすぐそこ。
いくら彼だって避けられない。
私は必死になって彼をなぎ払おうと手を伸ばす。
このままじゃ彼が、やられちゃう……。


