いきなり振り向かされて目に飛び込んできたのは、さっきとは打って変わった真剣な表情。
「えっ、あ、森を抜けてすぐの姫巫女神社です。だから大丈夫ですよ」
私は身を引き気味にし、苦笑しつつ断る。
本音を言うと、昔森で迷ってお父さんに叱られたから、森よりお父さんが怖い……。
もう高校生だから関係ないと思うけど、幼い頃に迷い込んで以来お父さんは森に入ることも許してくれないのだ。
だからと言って初めて会った人にそこまでしてもらうのもどうかなと、私の頭はゴチャゴチャと考えている。
「そっか、君は姫巫女神社の娘さんなのかぁ。てことは巫女さんだね。通りでかわいいわけだ」
「えっ?」
自分の耳を疑う。
自分でも頬がほんのり熱くなるのを感じる。
彼は私の瞳をじっと見てはなさない。
「いや、そういう話じゃなくて……」
私はすり足でなんとなく後退する。
でも背中はすぐに洞窟脇の岩肌へとぶち当たった。


