「だってよ、お嬢さん。こいつはOKらしい」



目線を天井に向け、イトバは嬉しそうにそう言った

そうだ、あの顔は、あの顔は。俺に厄介事を押し付けれた時に見せた顔

え、何これ怖い!流石の俺も幽霊と一緒は嫌だぞ!?
いやさ、仲間欲しいとは言ったけど!
せめて生身の体持った人がいい!
いくら幼馴染みだからって幽霊押し付けるとか頭イッてんじゃねーのかこいつ!?



「え、イイイイ、イトバ!?おま、何言って」
「構わ、ない」
「ぴぎゃあ!?」



天井が喋った!?
え、俺天井と旅するの!?
は!?
え、ちょ、怖い!
何これ怖いよ!
怖いよお母さん!

天井の板がガコッと音を立てて外れ、床に落ちた。ポルターガイストだ、俺はそう思った。しかしそれはすぐ違うと証明された。
中かから何かが床に落ちる。いや、何者かがひらり、床に降り立ったのだ

まず目に入ったのは、美しい薄栗色の長髪。松明の光を浴びて更にきらきらと輝いていた。そしてその次に、振り向いたその人物の瞳。雪の結晶のような、言い様の無い瞳の色。強いて言うなら、薄い水色

ヤバい、すっげー綺麗な髪。さらっさら。てか目何だよ。こんな目の奴居んのか、差別か、差別だな。こんな髪も目も、見たこと無い

え、てか、てか、



「女の子!?」

「ぼけーっ(・A・)としてるかと思えば、一声目がそれかよ」

「は!?普通の反応だろ!?だだだ、だって、俺ん中では上半身裸で、スキンヘッドで、ナイフ舐めながら『ぐへへ全員金目のもん置いてきな』って言う感じの人だったんだもん!」

「お前の中の『普通 じゃない人』の基準がよく分かんねーわ」

「いやいやいや!俺が言いたいわ!明らか普通じゃん!」



改めて、降り立ったその女の子を見直す。背は俺より小さく、恐らく150cm前後。胸の半分まである黒いコルセットに、黒い短パン。腰にはポーチが斜めに引っ掛けられている。見える肌は全て網?で覆われていた。前髪を真ん中で分け、左右共にピンで止めている。黒いマスクが鼻まで覆っているので、表情は伺えないが、目は眠そうに半分しか開いていなかった。

というかこの格好は、この格好はもしかして



「忍者!?もしかして忍者ですか!?いや、もしかしなくても忍者ですよね!?忍者の方ですよね!?」

「ちょ、おま、五月蝿い」

「だってお前忍者だぞ!?あの忍者!!俺初めて見たわー!すっげー!やべー!こんな近くで見れるだなんて思ってなかった!」