ふと窓の外を見ると、5月の空は日が傾いていた。 オレンジ色と紫色が入り混じって見える。 さっき4時って言ってたし、そろそろ帰らないとどんどん暗くなっちゃう。 でも……。 先程とは一転、心地いい空気にまだ帰りたくないって思っちゃう自分もいる。 だけどこのままでいるのも本田君に悪いよね。 意を決して話しかける。 「ねえ、そろそろ帰らない?遅くなっちゃうよ」 「え?……ああ、そうだね」 本田君は窓の外を見てやっと分かったみたいだった。 どちらともなく立ち上がり、無言で階段を降りた。