本当に馬鹿な事をした。

人は神の定めた運命には逆らえないのだと、俺は知っていた。解っていた。

それだというのに、俺は――





"人はいずれ死に至る。それが少し早かっただけなんだ"





甦る忘れもしない、あの記憶。


まだあの時のお前の声がしっかり耳に焼き付いていて





嗚呼すまない。
お前が言っていたことは誰よりも何よりも正しかったようだ

信じてやれなくて、本当にすまなかった



それでも少しはお前の役にたてただろう?少しはお前の仇を討てただろう?

それだけで俺は十分なんだ



それが、俺の生きてきた理由なのだから。



やっとまたお前と共に、馬鹿みたいに騒いで馬鹿みたいに笑うことが出来るんだな





とても楽しみだよ






もしかしたら俺は死にたかったのかもしれないね
…いや、確実に死にたかったんだ。生きるのさえ辛いこの現実から、俺は逃げ出したかったのだ。






その願いが終に叶う



あとは幾人もの尊き命を奪った此のナイフで、喧しく動き続ける自分の左胸を突き刺せば









本当の、最後だ。













END