何か、柔らかく暖かいものに手が触れる。

「!?」

驚き、ばっと反射的に手を離してしまった。


「な、に…?」

触れた手を見る










その手からは


















大量の赤い液体が滴れていた。









ぼたぼたと手のひらから垂れる、恐怖

「…ぁ…、ぁァああ…」

上手く声が出ない
震えが止まらない
体に力が入らない








知らぬ間に僕は、その場から逃げ去るようにただがむしゃらに走っていた。

…何処に向かうのでもなく





なんでなんで、なんで

一体僕らが何をしたというんだ



なんで、なん、で






涙が溢れだしてきた


止まらない止まらない。



ふざけるな

どうして母さん達が?
何でいなくなってしまったの?

…なのに、何で僕は生きてるの?








信じられない


おかしい、おかしすぎるよ



何で僕らが犠牲にならないといけないの?
何で爆弾は落されたの?

何で、…………母さん達は死んでしまったの?



何で、…ああ何で












運命は捻じ曲げられない

訪れてしまった現実は、無残だろうがなんだろうが、必ず受け止めなければならない
それを避けることなど、僕らにはできないんだ。










そう分かってたって

現実が認められない、本当の自分が此処にいた。















END