side 京

「…」

って、もうみんな寝てるだろ。

今は夜の11時。

つか…飲みすぎた…

「ひく…」

やべ…超酒臭いかも…。

しっかしこんなに飲んだの、初めて。

俺は玄関の所に寄りかかって座った。

「…はっ‼︎⁇ちょっ、京‼︎⁇」
「…ぁ、ねき…」

片目を閉じたまま姉貴を見る。

「な…信じらんない…てかっ、酒臭っ」
「マジ⁇」
「あんたお酒なんて飲めたっけ」
「いや…春樹がすげえ飲むから…飲まされた…」

姉貴はどうやら風呂上がりらしい。

「ほんとみっともない。さっさお風呂済ませちゃってよね」
「あー…、はい」

俺が風呂場に行こうとゆっくり立ち上がった時

「あっ、そうだ」
「…なん」
「今日梓ちゃんと話したから私」
「…は⁇」
「それだけ。おやすみー」

…。

「いやいやいや、ちょっと待て」

姉貴は俺を無視して階段を上がって行く。

「ちょっ、おい姉貴‼︎おまっ…余計なこと…」

って、俺が言ったら

「ちょっとうるさいわね京。ってか飲んできてるし…」

母さんがドアから顔を出す。

姉貴はその隙に逃げやがった。

「あ、母さんごめん。起こした⁇」
「まあ…いいから早く寝なさいよ⁇」
「うーい」

ったく姉貴のやつ…ただじゃおかねぇ。

「おい姉貴‼︎」

俺はドアの前で叫ぶ。

ったく、ふざけんなよな。

「くそ姉貴って」
「誰がくそよ」

と、部屋から出てきた。

「入るぞ」
「入れば」

俺は姉貴の部屋に入る。

つーかマジ、嫌いなんだよな。

姉貴の部屋の匂い。

「すげぇあめ…」

めっちゃ甘ったるい匂い。

「で。なに⁇」

と、姉貴はベットに手足を組んでこっちを上からのように見てくる。

「余計なこと言ってないだろうな」
「梓ちゃんに⁇」
「他に誰がいるんだよ」
「余計なことって⁇」
「ふざけんな。言わなくていいようなこと言ってねーよなって」

俺はカーペットに腰を下ろす。

「それってつまり…京が梓ちゃんを好きってこ…」
「あほかっ」
「お姉さんに向かってあほとはなによ‼︎そんなんだったら言っとけば良かった‼︎」
「マジ声でか…」
「うっさい‼︎」
「んで⁇なにを言えば良かったって⁇」

俺は笑いながら言う。

「ニヤけんな」
「は…。てか、俺の気持ち言ってないんだ。サンキュー」
「さっさ気持ち伝えないと、私が言うよ⁇」
「だからなんで上からなんだよ」
「とーにーかーく‼︎これは伝えないと後悔する‼︎絶対‼︎」
「なんでだよ。まだそんな気ねーし」
「お姉ちゃんを信じなさい。それに、いつまでも幼なじみが続くなんて思ってないでしょうね」
「は⁇幼なじみに終わりがあんの⁇」
「そう言う意味じゃない‼︎だからー、いつまでもこうやって、ずっと近くにいられるなんて思ってたら大間違いって言ってんの‼︎」