side 梓

このメール…。

どうしたんだろ。

京君、最近おかしいよ。

私なにかしちゃったかな。

なんかずっと、京君を見てない気がするよ。

私は学校へ行く。

すると門の所で原田先生がいた。

「水樹さん、おはよう」
「おはようございます」
「今日はひとり⁇京は⁇」

そう言えば先生は、京君の事をなぜか京と呼ぶな。

「えっと…京君はいません」
「なんで⁇あいつとケンカでもした⁇」
「それがよく私にも分からなくて。京君が私を避けてる気がするんです。昨日から…」
「そっか。なんかあったら私に言いなよ」

と、先生は言ってくれた。

先生、普段は厳しいのに、こんな話聞いてくれるんだ…。

「ありがとうございます」

私は少し頭を下げて靴箱を目指した。

「おはよう、梓っち。熱は大丈夫⁇」
「もう大丈夫だよ」

霜月君にはお世話になっちゃった。

「今日の放課後空いてる⁇」

と、霜月君は言う。

「うん、空いてるよ⁇」
「じゃあさ。勉強しよーぜ」
「いいよっ‼︎」
「おぅっ‼︎じゃあ放課後な」
「はぁーいっ」

霜月君は良い人だな。

いつかちゃんとお礼しなきゃ。

「よっ、梓」
「梨花ちゃん‼︎」

後ろからいきなりびっくりしたー。

「最近霜月と仲良いじゃん。何かあったかぁ⁇」

と、笑ながら言ってくる梨花ちゃん。

「うんうん、あっ、だけどね昨日霜月君が家まで送ってくれたの」

わざわざだよ⁇

「そっか。てか王子は⁇」
「京君⁇」
「うん。王子、体育館の掃除やらされてたんでしょ⁇じゃあ王子の方が終わるの遅かったのか」
「え⁇」

掃除⁇

「え、って。知らなかった⁇」
「う、うん」
「昨日さ、野崎の体育委員の仕事、手伝わされてたんだよ。てか私、てっきりそれで霜月と一緒に帰ったのかと。山崎が言うには昨日帰ったの6時すぎてたみたいだし」

野崎君とは野崎春樹君の事。

嘘…京君先に帰ってたんじゃないの⁇

そんなこと、ひとことも言わなかったよ⁇

てっきり先に帰ったかと思って私…霜月君と一緒に…。

「昨日ごめんね。部活休んで保健室いたかったんだけどさぁ」

あれ…。

そうだ。

そう言えば私…倒れたのに、なんで保健室にいたの⁇

やっぱりそれって、誰かが運んでくれたんだよね。

「梨花ちゃん」
「ぅん⁇」
「昨日私…運んでもらったの⁇誰かから」
「うん、王子だけど」

京君が⁇

「…」
「記憶にない⁇王子が梓をオンブして、周りの女の子がキャーキャー言っててさぁ。しっかしあれは本当に王子様とお姫様だったね」
「いや…覚えて、ない…」
「あっ、王子来た」

私は反応する。

ドアの方を見たらやっぱりそこには京君がいた。

それも周りには相変わらずの女の子。

「ほら、行って来なさいよ」
「えっ⁇」

梨花ちゃんが私の背中を押す。

「ありがとうって、伝えて来いっ‼︎」

…。

そうだよね。

いくら避けられてるからって。

お礼はちゃんとしないとね。

「うんっ‼︎」

私は京君の元へ行った。