ぼくは町のカフェで働いている。


素朴なパンケーキのお店だ。


焼く前によく生地を混ぜなくちゃいけない。


腕が痺れて動かないくらいに。


空気をいっぱい含ませ、ふんわーりと仕上げるんだ。


今日もお店は繁盛していた。


「甘い匂いがしよるな。わしも大の甘党なんよ。ラクガン主食いうても大袈裟ちゃうわ。あんこは、こし餡派やな。メロンパンはサクサクよりしっとりしたんがええ。あの歯の裏にひっつく感じがええわ。メロンパンのあの黄色いとこて、めっちゃ美味いの知っとった?あれパンにつけて食うと最高やで‼ならメロンパンにしろって?せやから、メロンパンはしっとりしたやつが___」


ぼくは、さくらんぼをモヒリアンに与えた。


秤の端に腰掛け、足をぶらつかせながら、さくらんぼを両手に抱えてご満悦のもっひー。


ちょっと可愛いかもしれない。


「あ、まさるくん、パンケーキ二個追加ね」


「みゆきさん、了解です」


さっそく、あつあつのフライパンに、濃厚な生地を流し込む。


「あっつあつの恋心もついでにどうぞ」


冷やかしをシカトし、フタをする。


「この想いにフタは必要ありません」


無視してひっくり返す。


「焦げたな」


そこは感想かよ‼