朝はやってきた。
隣町にもやってきた。
太陽は平等なんだ。
ただ、心まで温かくなるかは別として。
今日はバイトの日だ。バイトの日は、朝ご飯を食べる。勉強のことを言われるから、かきこむように食べるんだけど。
「お母さんにするよ」
いただきますのあと、そう言った。
お母さんと暮らすと。
お父さんは「そうか」とだけ言い、お母さんは凄く嬉しそうだけど、それを顔に出さないようにしているみたいで。
いつも以上に、早くご飯をかきこんで部屋に戻った。
「決め手はなんや?」
「うーん、肉かな?お母さん、ぼくが小さい頃から、必ず肉、押すんだよね。一緒にいて恥ずかしいくらい。でも、ぼくにいい肉を食べさせたいからなんだって、言ってたの思い出した」
「お、おう、そうか。なかなか、け、決断、やっ、や‼、や…」
「泣き上戸?」
「誰が泣いてんねん‼こ、これはアレやアレ。そうや、ノミや‼ノミの野郎が目に‼痒い痒い痒い‼」
床に転げ回るモヒリアン。
「バイト一緒に行く?」
「え?ええん?」
「おとなしくしてるならね」
「モッヒー、固まります‼」
人形と化したモヒリアンをポッケに忍ばせ、部屋を出た。



