翌朝。


やっぱりあれはタチの悪い夢だった__。


「わし腹へった。なんやこう、モーニング的なんないんか?卵とパンのシンプルなんがええな。アイスミルクはガムシロつきで」


おのずと問題が発生する。


エイリアンは一体、なにを食べるのだろう?まさか、まさか、人肉を…。


「寿司やったら、炙ったサバやな。ええサバは生で食えるんやけど。博多とか行ったら、イカも透明やしな。あそこは食いもんに外れはないわ」


腕組みしてグルメを気取るエイリアン。


どうやら心配して損したようだ。


それでも近所のコンビニに買い出しに出かけることにした。


チャリに乗り、胸ポケットにエイリアンを忍ばせ、のらりくらりと…。


「せやけど、ほんま暑いな。溶けるでしかし。ワシが滅ぼさんでも、このまま温暖化で勝手に絶滅するやろけどなぁ」


「だろうね」


話半分で着いたのは、郵便局。


「うわぁ、これは旨そうな葉書とか切手とか、見てるだけでヨダレが出てきそうですね」


あえての標準語での嫌味もスルーし、塾の受講料を振り込むのに、ATMに並ぶ。


かなりの行列が出来ていた。


すると。


次はぼくの順番だったのに、人相の悪い男が割って入ってきた。


素知らぬ顔でATMを操作し出した男に、後ろの列がざわつく。


順序からしたら、ぼくが注意しなければならない。


でも、そんなのはムリだ。