そんな後悔も、背後に迫る赤い人の恐怖にかき消されて。


手当たり次第に近くにある物をひっくり返すけれど、それらしい物は何もない。


そんな事をしている間にも、ベタベタという足音は大職員の前まで迫っていて……。


それがピタリと止まった時、私は携帯電話の明かりを入り口に向けた。


するとそこには……。











全身血まみれの美紗。


そして、その背後には赤い人がいて……。


首をつかまれた美紗が、赤い人によって無理矢理立たされているといった状態。


「ひ、柊さん……」


と、美紗が小さく呟いた瞬間。


ボキッという音が聞こえて……壁や床に、大きな亀裂が走ったのだ。


ガラガラと、音を立てるかのように崩れ落ちる壁や床。


いったい、何がどうなっているのか分からないけど、もしかするとこれが、美紗が死ぬと今日のカラダ探しが終わるという事の意味だったのかなと理解して。


私は、崩れ落ちる床と共に、深い闇の中に落ちていった。











この日初めて、私は赤い人に殺されずに翌日を迎える事になった。