ザザッ――――――― 電車に揺られること数十分。 最初は会話もあったのに、電車の中ではお互いに話さなかった。 私からは話せなかったし、遥斗先輩も口を開くことはなかった。 電車を降りて、目の前に広がったのは大きな海。 暗くなりかけている空は、薄暗く海には人の姿もない。 ただ波音が響いていた。 「ここに座るか」 「…はい」