「1人?」 その言葉に引っ掛かりを感じて一度箸を置いて千夏を見つめる。 千夏はその眼差し受けながら、ニコニコと話し出した。 「ねぇ、有紗。」 「何?」 「母さんの我が儘、聞いてもらってもいいかな?」 「我が儘?」 お互いきちんと座り直す。 「東京に出てきて1年。有紗もついにデビューすると決まってすごく嬉しいの。」 「うん。」 「でもね。」 そっとお茶を口にする。 「母さん、ちょっと疲れたみたい。」 「どうゆう事?」 「香川に帰ろうと思うの。」 「えっ?」 (香川に、帰る…。)