見わたすと、血だけじゃなく、所々散らかっている。


「じゃあ、掃除してあげるから。 コレの頼み事聞いてくれる?」


「んー。 いいよー」


そう言ったのを確認して、私は人差し指を付き出した。
その場で小さく円をかくように三回転すると、あっというまに部屋はピカピカになった。


家の中が暗かったのは、電球が壊れていたかららしく、直すと、電気がついて明るくなった。


「で? チョコの頼みって何?」


「人間の腕が欲しいんだって。 持ってる?」


「ん~…。 俺ら死神は人の命を取りに行くのが仕事だから、本体は基本的には持ってないよ」


とジャックは話す。
チョコはムクリと起き上がって、ジャックの方を見た。


「そっか、悪かったな」


チョコは諦めたように、玄関に向かおうとした。
すると、ジャックはニヤリと笑ってこう言った。


「じゃ、取りに行くか」


「え?」


「人間の腕」


チョコはごくりと唾を飲んだ。