「あー、楽しかった。 また来たいねー」


私は出口に向かいながらそう言った。


「も、もう絶対来ないからね!」


ミューが珍しく眉間にシワをよせて怒って言う。


「俺も、死んでもこねーからな!」


チョコも、血相をかえていた。
いいじゃん、空飛べるようになったんだから、と呟くと、チョコはキョトン、とした顔をしていた。


さっきので、チョコは飛ぶコツをつかんだらしく、ふわふわと飛べるようになっていた。まだ不安定だけど。


「もしかして、チョコのためか?」


ジャックが薄笑いしながらそう言うと、私は、そんな訳ないでしょ、とそっぽを向いた。


「―私は、悪魔なんて」


“嫌いなんだから”と言葉が続く筈だった。


「――――イチゴ?」



チョコのものでも、ジャックでも、ミューのものでも無い声。


…でも、知ってる。
後ろから聞こえたその声。


私は重たい体を動かし、振り返った。
予想した姿が、目の前にある。


「…ダーク」


もう二度と、見たく無かった、その顔を。
私はじっと見つめる。