もう、空は明るい。
玄関のドアを開けると同時に、チョコはハサミをトカゲの尻尾にあてがった。


「いてーだろうけど我慢してくれよ」


そう言ってチョキン、と切る。
それを壷の中に入れると、綺麗なピンク色に変色した。


「これは何だい?」


留守番していたトマトが、のそっとやってきて、壷の中を覗きこみ、言った。


「緊張しない薬!」


「緊張しない…?」


私は何でそんなものを作ったんだろうと首を傾げていたら、開きっぱなしだった玄関から、ミューが顔を覗かせた。


「あ、あの…」


「ミュー! 出来たぜ!!」


チョコは、瓶に先ほど出来上がったピンク色の液体を、ミューに差し出した。


「今日、天使達全員で、お遊戯会するんだろ? 神様も見にくるって話じゃんか! お前、人一倍緊張しいだから、この“緊張しないえき魔法の薬”をやるよ!」


「チ、チョコくん…」


ミューは感動のあまり涙ぐんでいた。