「え…あ…、そうなんですか? てゆうか、何で私の名前…」


「ああ、ハンカチに書いてあった」


「…そうでしたっけ?」


チョコは、“晴美ちゃん”の肩を叩いて、トカゲを持ってその場を去った。


私がチョコを迎えに行くと、トカゲを嬉しそうに私に見せてきた。
ハンカチにトカゲをくるんで、大切そうに持っている。


「どこにも名前なんて書いてないじゃない。 なんで名前知ってたの?」


「悪魔の勘ってやつだよ」


悪魔には、人の名前が分かる能力があるって聞いた事あるけど、落ちこぼれのチョコに出来るわけない。

あの時、必死だったから、悪魔の潜在能力が少し出てしまったのだろうか。


「あの時、宙に浮いた気がするけど…もしかしてイチゴがやったのか?」


「ハ?」


コイツ、自分で飛んだ事に気付いてないのか…。
まあいや、そういう事にしておこう。


「いっとくけど、人間を助けるなんて、悪魔失格ね」


「え? そうだっけ?」


チョコは少し青ざめてそう言った。


「あとあの子の寿命が延びた。 ダブルで怒られるな。 魔王様に」


チョコはもっと青ざめた。


「…い、いいんだ! トカゲが手に入ったんだから!」


強気でそう言った。
ジャックともお別れして、家に向かう。