「ちょっと、止まってー…晴美ちゃん!!」


チョコはそう言ったあと、ふわっと宙に浮いて、女の子を抱きかかえるように、向こう側の道路へと飛んだ。


間一髪、トラックには当たらなかったみたい。
…でも今、ジャンプ…にしてはふわりと浮いたような…。


「今、チョコ飛んだよね?」


私がジャックに言うと、ジャックは頷いた。
火事場の馬鹿力ってやつ?


…馬鹿だけに。


「よ、よかったー! 間に合って」


チョコはふうーっとため息をついた。
女の子は不思議そうに、チョコを見たあと、気がついたように言う。


「あああ、ありがとうございます! 助けてもらっちゃって!!」


「いや、この子が…」


チョコが手から出したのは、トカゲ。


「晴美ちゃん、この子踏みそうになってたから」


「え…?」


「ちょうどトカゲ探しててさあ、気配感じて走ってきたら、晴美ちゃんが踏もうとするんだもん。 焦ってジャンプしちゃった。」


チョコはニコニコと話す。