Strawberry Chocolate

…コイツ、悪魔のクセに人間にときめいてやんの。
私は鼻で笑った。


女の子は、スタスタとその場を去っていく。
しばらくそのままハンカチをボーッと見ているチョコ。


2分ほどして、ジャックが口を開いた。


「さっきのあの子、あと3分で死ぬ。 ちょうどいいじゃん」


死神は、人間の死ぬ時間が分かるらしい。
チョコは、ハンカチを使わずとも血は止まったようで、ジャックの方を向いた。


「この道を直進したら、見渡しの悪い十字路に着く。 そこに、トラックが女の子につっこんで…」


ジャックがそう言うと、チョコは走っていった。


「やっぱ飛べないのって不便そう」


私は他人事のようにそう言った。
飛べたら、すぐ追いつくのに。


「イチゴは追いかけないの?」


「そこまでする義理無いでしょ。 運命なんだし。 腕も手に入るんだから」


「そう言うけど、足はチョコと同じ方向に向かってるみたいだけど?」


「あのバカを見失うわけにはいかないでしょ」


そう言って、歩いていく。
女の子は、もう十字路の近くにいた。


私とジャックは先周りして、空から様子を見ていた。