この世界にお金はない。

店にはさっきの登録管理所みたいに機械が置いてあって、そこに自分のナンバーを入力すると商品が買える仕組みになってるみたい。


ここに大人は居ないから、店には店員もいない。
大人がやる事は全て機械がやっている。

そんな事をシオリに聞きながら、俺達は五番街に向かった。


その間、街を色々見渡してみるとゴミ一つ落ちていない綺麗な街並みが広がっていた。

たくさんの店の数々に手入れされた花や草木。

外見はとても立派だけど、どこか活気がない。


例えるなら開演前のディズニーランドみたいなそんな感じだ。


そしてここには現在88人の
フリーチルドレンが居るらしい。


ナンバーはここに来た順番で、つまり俺は87番目。ちなみにシオリは85番目。

…………ってか俺の後に来た奴がもう一人居るって事か。



『なぁ、ここの住人達って今なにしてんの?』

五番街までけっこう歩いてきたけど、ここまで誰一人居ない。街は相当な広さだけど88人も居るなら一人ぐらいすれ違ってもいいよな?


『みんな昼間は寝てるから、ほとんどの人が夜に活動し始めるんだよ』


『夜ね……ってあれ?』


今まで疑問に思わなかったけど、今昼間っておかしくね?だって俺今日学校に行って、家に帰って、
それでここに………。

つまり時間的にはもう夜になってるはず。


それもシオリに聞いてみたら、ここでは向こうの世界と時間が逆転してるんだって。

だからあっちが夜ならこっちは昼。


あり得ない、ここに来て何回思っただろう。


だけどあり得ない事があり得るのがこの世界。

時間が逆転してると言われたら、
納得するしかない。


そしてやっと俺達は五番街に着いた。