『そう言えばユウキは進路どうするの?』

話しは変わって進路の話題になった。

進路調査表を提出するまで後4日しかない。


進路という単語を聞いた瞬間、俺のテンションは
一気に下がった。


『……………決まってない』


本当は就職に丸を付けたのに、それを言えなかった。まだ人に言えるほど気持ちの整理が出来てないから。


『フ、フクはっ?』

『俺もまだ決まってないよ』


即答で答えたフクに少しだけ安心した。


今まで進路という言葉すら出てこなかったのに、
進路調査表が配られた日から明らかに進路の話が増えた気がする。

クラスのみんなも大学や専門のパンフレットを見て盛り上がったりしてるし。


『ねぇ、あれ見て』

フクが指差す方向には学年で一番成績がいいナカジマがいた。あだ名はナカジ。


ナカジは担任と大学のパンフを広げて話し合っていた。ここからじゃよく見えないけど多分、有名な大学のパンフだ。

期待されてるんだなって嫌でも分かる。

だってナカジと話してる先生の顔はいつも笑顔で、別格ともいえる接し方だった。