これで納得したのかな。まぁ、俺以外の人にも聞くかもしれないし。
それにしても世の中色んな人が居るんだな。まさか絵なんて見せられると思ってなかった。
『………じゃ、俺はこれで』
隣町まで案内しろとか言われたら面倒だから、俺は足早にその場を後にした。
『君はこっちに来ないのかい?』
はっきりと聞こえた少年の声。
『え……?』
慌てて振り返ると少年は何事もなかったかのように、俺と逆方向に向かって歩いて行った。
聞き間違いか?いや、確かに聞こえた。
君はこっちに来ないのかい?って。
それってどうゆう意味だ?暫く考えてみたけど答えが見つからず、俺は再び歩き始めた。
初対面のはずなのに、何故か少年の顔が頭から離れない。
絵の場所を聞かれたのも初めてだし、
あの最後の言葉……。
俺はもう一度後ろを振り返ってみた。
しかしそこにはもう誰も居なくて、冷たい風だけが俺を吹き抜けていった。