今考えればメグも必死で俺に訴えかけていた気がする。

俺がゲンタを想って言えないように、
メグも俺を想って言えなかったんだと思う。

なのに俺はそれが許せなくてメグに冷たくしてしまった。


後でメグに謝りに行こう。

でもその前にやらなきゃいけない事がある。


俺は四番街の家へ戻り、ガチャリとドアを開けた。中にはノリ、ユキ、アンナ、シオリの姿はなくて
リーダーしか居なかった。


『…………リーダー、大丈夫?』

椅子に座るその姿は明らかに凹んでいた。


『うん、平気』

そう言った声のトーンはいつもより低い。

本当はゲンタがダイキ組を抜けた理由を話してあげたい。でもゲンタが隠した気持ちを俺が言う訳にいかない。

例え言ったとしても、余計リーダーを落ち込ませるだけだ。


今は慰めの言葉より大事な事を言わなくちゃいけない。


『リーダー、俺ミノルの事思い出したよ』

すると、うつ向いていたリーダーが顔を上げた。


『本当か……?』

ふっと浮かんだ光景。一瞬だけど確かにミノルは
俺の記憶の中にいた。


それは眩しいくらい晴れたあの日、
俺はミノルに言った。

友達は作るものじゃなくて、
いつの間にかなってるものだって。

2人で夢を語り合ったあの場所で………………。