『え……あ、ありえないでしょ!考えすぎだよっ』
俺は全力で否定したけど、内心ものすごく動揺していた。
『そんなの分からないだろ?今はMに繋がる手掛かりが何もないんだ。だから小さな事も見逃せない』
『………』
『Mを知る為にはユウキの記憶だけが頼りなんだよ』
……………そうだよな。
この世界でミノルを知っているのは俺だけ。
俺の記憶か………、そんな事考えた事もなかった。
例え事故が原因でミノルを覚えてないとしても、
それ以上調べようがないよな。
誰か当時の俺を知ってる人がいれば何か聞けるのに。1番はおふくろだけど………今は無理だし。
俺は事故以外にも何かなかったか、慎重に思い返していた。でも記憶が無くなる程の出来事はそれしかない。
早く、早く手掛かりを掴まないと………。
認めたくないけど最近向こうにいた時の記憶が微妙に薄くなってる。
まだ大きい事じゃないけど、昔飼ってた猫の名前とか、幼稚園の時好きだった先生の事とか。
寝る前に小さな事も毎日思い返すようにしてるけど、不安はなくならない。
猫の名前なんて忘れてしまっても支障はない。むしろこの世界に来るまでそんな事、気にも止めなかっただろう。
でも今は……………
記憶が無くなると知った今は、そんな些細な事でも怖い。自分が日に日に違う人になってく気がして。



