涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



目を見開く私にレイが続ける。



「サクは俺にとって大切な女の子やから!そんなん、いやとって!!」



……え?


レイの真剣さが伝わって、不覚にも嬉しくて笑ってしまった。


やばい。嬉しすぎるっちゃが。



「笑い話しよるんやないとばい……」


「わかっとるけど……」



わかっとるっちゃけど、嬉しいっちゃん。


当事者である私よりも必死になって。

大切にされとるって、わかるから。



「でも、本当に大丈夫やからっ」



教室の方へ歩き出した私にレイが戸惑った表情をする。



「戻るよ。授業始まるけん」



これだから、ダメなんよ。


レイのことまた好きになる。


嬉しさ反面、切なさもジワっと広がった。


レイは知らない。

私の胸の中がレイでいっぱいなこと。


知らんで、いい。