涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



謝ると「え……」と拍子抜けした女子たちの顔。

ふっ……と、息をこぼすように笑うと「じゃあね」と教室をあとにした。


私も好きな人に告白できない臆病者のくせしてなに人に説教してんだって話だよね。


昇降口から外に出ると激しい雨。


……雨の時の空は不機嫌そうな色をしている。


まるで、私みたい。

いつも不機嫌で、なにごとにも冷めてて。


すぐ簡単に諦めてしまう。


でも私、レイのことだけは簡単に諦められないみたい……



「レイ?」



この激しい雨の中傘をさして、空を見上げているレイが私より約50メートル弱ほど離れたところにいた。


目を凝らして見るとレイが親指を立てて左胸を押している。


……あれは、まさか。