涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



レイが私の髪の毛をすくう。


一連の動作がすごく自然で、でも髪の毛一本一本に神経があるように緊張した。



「サクは小さい頃から一番大切な女の子やったよ……」


「れ…い…?」



切ない視線で私を見るレイに、私も切なくなった。


小さい頃から……?


レイも私を大切だったと言ってくれるの……?



「私も……レイが一番大切な男の子やった……」


「うん」


「やけん、別れをちゃんと言えなくてずっと後悔しとったと……レイの手術はうまく行ったのか、レイが寂しい思いをしてないか……」


「うん……」



レイが、あの頃のように

空を見上げられているか。


すごく、気がかりやったんよ。


離れていた時間が私たちを狂わせたのかな。