「そんなにお望みなら殺して差し上げましょーか?」



真顔で言ったらクラスメイト全員がドン引きした。


シーンとなる教室。変な一体感におかしくてクスッと自嘲するかのようにあざ笑った。


そりゃそうだ。冗談にもならないよね。



「人ば殺したやつが天国に行けるわけないっちゃん!お前の母さんもきっと地獄に落ちてるぞ!」



クラスの男子が言ったその言葉に頭の中で何かが切れる音が響く。
どうしても許せなくて、思わず飛びかかった。


なんも知らんくせに……!

どんなに私たちが苦しんだか……!



「なんも知らんくせに、お母さんを悪く言うことは許さんけん!!」



男子生徒の胸ぐらをつかんで心のままに叫んだ。


事態を聞きつけた担任の先生にあわてて引き離された私。

それでも頭にのぼった血は引かず。



「お前も地獄に落ちろ……!!」



男子に言われた言葉。私を制御する先生の手を無理やりほどくと、近くにあった机を思いっきり蹴り飛ばした。


飛んで行った机は勢いよく周りの机もなぎ倒す。


シーンと静まり返る教室。


唇を噛むと、血の味がした。

そしてそのままモヤモヤした感情を抱えて、私は教室を飛び出して学校も出た。



「はぁはぁ……」



無我夢中で走る。


地獄なんか……もうとっくに見とる……。