涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



「俺は、もうすぐ死ぬ。やから、サクを泣かせてしまう……」



言ったレイの言葉に、聞き耳を立てていた教室中がザワつく。


まばたきもせずに、口をおさえてびっくりする真理ちゃんにレイが続けた。



「でも真理がおれば、サクは大丈夫やね。その時は、サクを慰めてやって」



レイの穏やかな表情が、逆に寂しい。


レイは強すぎるよ……。


死を宣告されたら、私ならきっともっと自暴自棄になって、生きる意味をなくす。


なのにそんな風に笑えるレイを本当に尊敬する。


自分のことよりも私や真理ちゃんのことばかりを気にしてるレイ。


どこまでも人に優しいレイ。



「麗矢……ごめん、知らんかった……っ」


「泣かんどって、真理?圭都にしか言ってなかったし、言うつもりも、本当はなかった」



レイが真理ちゃんを慰めるように頭を撫でてあげる。


教室中が落ち込んだように静かになっていた。